全国町村会

新規就農者を育てるオーガニック朝市

コモンズ代表・ジャーナリスト 大江 正章 (第2948号・平成28年2月1日)

名古屋市の繁華街・栄の都市公園に、有機農家が消費者に直接農産物を販売する朝市がある。名前は「オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村」。2004年10月に始まった。 現在は毎週土曜日の8時半〜11時半に開かれ、参加農家は約70。2007年からは、無農薬栽培が難しい果樹以外、新たな出店者は新規就農者に限定している。  

毎回の来客数は約1,200人で、年間売り上げは6,000万円を超えた。この朝市には4つの優れた特徴がある。  

第一は、いうまでもなく、豊富な種類の有機農産物を定期的に手に入れられる場が大消費地に誕生したことだ。  

第二は、その有機農産物の栽培方法がきちんと担保され、買う人が確認できることだ。それは、有機JAS制度に基づいて認証を取得した農産物が並んでいるという意味ではない。 有機農業に精通した人物(朝市村の村長)が自ら出店希望者の田畑に足を運んで栽培方法を聞き取り、納得した農産物のみが並んでいるのである。これは、 いわゆる提携における「顔の見える関係」を店舗販売で実現させたことを意味する。  

第三は、農産物を販売する場であると同時に、就農相談コーナーが設けられ、新たに有機農業で生計をたてようとする非農家出身者の研修と就農の窓口となっていることだ。しかも、愛知県内で研修する場合は、 農水省の青年就農給付金(準備型)が取得できる。こうして、岐阜県白川町などの市町村に、就農への橋渡しを実現してきた。就農者はすでに27人にのぼる(ほかに10人が研修中)。 これらは他のオーガニックマーケットに見られない独自の機能であり、行政がこの朝市村を信頼している証でもある。とくに、高く評価したい。  

第四は、日々進化していることだ。当初の隔週開催から毎週開催に進み、出店者が増え、品ぞろえもより魅力的になっている。さらに、夕ぐれ市や病院にも広がった。こうして、健康により配慮すべき人も含めて、 安全で新鮮な美味しい農産物を供給し、新しい公共も担っていると言える。  

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