全国町村会

「一票の格差」を考える

コモンズ代表・ジャーナリスト 大江 正章 (第2844号・平成25年6月24日)

2012年に行われた衆議院選挙の「一票の格差」をめぐって起こされた訴訟で、高等裁判所の違憲判決が相次いだ。これをうけて政府は、「一票の格差」が2倍以下となるように小選挙区の数を5つ減らすとともに、 全国42選挙区で区割りを見直す公職選挙法改正案を4月に提出した。民主党など野党は、「抜本的改革と定数削減」を主張して、これに反対している。

参議院については昨年「4増4減」が決まり、今年7月の選挙から実施される。ただし、衆議院選挙の無効を求めて提訴した弁護士グループはこれでは不十分として、選挙後に提訴する方針だという。

中央のマスメディアは、この「一票の格差」解消に好意的だ。私の周囲も、定数削減や小選挙区制の是非については意見が分かれるが、「一票の格差」解消には賛成者が多い。しかし、 人口だけを基準に定数を決めるという考え方は、本当に正しいのだろうか。面積や投票率は、基準にはならないのだろうか。

人口だけを基準にすれば、地方在住者の声はますます反映されにくくなる。いうまでもなく、国土を守り、食べものやエネルギーを供給してきたのは、人口が少ない地方である。その定数が減れば、 TPPの例をあげるまでもなく、地域経済や農林業を蔑ろにする政策がいっそう進められる。また、投票率が高ければ一票の価値は軽くなり、低ければ重くなる。だから、 人口とこれまでの国政選挙投票率の双方を勘案して定数を決めるという考え方も成り立つ。

私はあらゆる問題について、公正さと少数派の意見の反映が重要であると考えている。その意味で、衆議院は人口に基づいた中選挙区制にして定期的に区割りを見直し、 参議院地方区は47選挙区すべてを定数2にすべきだろう(米国の上院方式)。それでは人口が多い東京都や神奈川県の参議院の一票の価値が大幅に軽くなるという反論が、もちろんあるはずだ。 そう思われる方々はぜひ地方に移住して、重い一票を行使されてはいかがだろうか。

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