全国町村会

外部人材の活用

法政大学教授 岡崎 昌之(第2828号・平成25年2月4日)

若い世代のあいだで農山漁村への関心が高まっている。ドラマにもなった地域おこし協力隊をはじめ緑のふるさと協力隊、様々なインターンシップに多くの若者が 参加している。地域と大学が連携して地域実践活動を推進する「域学連携」事業も成果を上げ始めている。福島県の「大学生の力を活用した集落復興支援事業」では、 山間部の集落と各大学のゼミ生たちが直接交流し集落再生を模索するなど、県や市町村が独自に実施する連携事業も多い。

なぜ都市や地域外部の若い世代が農山漁村に関心を持つのか。そこには日本文化の源ともいえる伝統やしきたり、祭りや行事を遂行する人の仕組みがあるからだ。 食品加工、家屋や田畑などの維持、管理等、永年に渡って集落の生活を支えてきた技が多様に蓄積されている。濃密な人間関係や数百年以上続いてきた歴史がそれを 可能にしている。分断され一方的に与えられる都市的生活を送ってきた若者には、こうした他者との協働や地域内で循環する農山漁村の生活空間はかえって新鮮に映る。

この動向を先導してきた若者群がいる。遠野山里暮らしネットワーク、山梨県早川町の日本上流文化圏研究所、上越市桑取地区等で活動するかみえちご山里ファン倶楽部、 熊本県小国町の九州ツーリズム大学を支える(財)学びやの里などの中核を担う若者である。いわゆる団塊の世代ジュニアで、多くが大学院をでたり企業で働くなど専門的 スキルや社会経験を持つ。外部から移住したり、地元出身でも地域外での生活を経験している。積極的に若い学生を受け入れたり、次世代に対して地域での暮らし方や 仕事の仕方を実践的に示してきた。

これからの外部人材が地域で力を発揮するために不可欠なのが受入れ市町村職員の支援だ。集落の人たちと若者が理解を深めあうには、現場との間を繋ぐ職員の役割が 重要である。地域の特性、住民の心情や誇り、生業や伝統などを、外部人材に分かり易く、正確に伝える必要がある。そのためには日常の地域把握力が問われる。地域の 真の状況は役場にいるだけでは把握できない。普段から現場に出て、地区の成り立ち、行事や生活、経済状況等を認識し、地域住民と密接に交流することが重要である。

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