全国町村会

アンテナショップ考 

法政大学教授 岡崎 昌之(第2745号・平成23年1月17日) 

銀座、有楽町など都心の繁華街で、アンテナショップの出店が続いている。中国等からの輸入食品への警戒感が強く、日本産でかつ各地に根づいた安心のできる産物を購入したいという消費者の強い希望が背景にある。首都圏3千万人といわれる世界有数の巨大市場、かつ商品に対する感覚の鋭い層の集中度合いも高いこの市場に、各県、市町村が、地域の総合情報の受発信、物産販売、飲食提供を目的として、アンテナショップを出店させようという動機には強いものがある。

自治体が設置したアンテナショップは、都内だけですでに50店舗に上っている((財)地域活性化センター、平成22年12月)。アンテナショップの元祖は昭和8年、旧丸ビルにできた「地方物産陳列所」や昭和40年代の東京駅八重洲口の国際観光会館の県別物産売場だといわれるが、それは違う。それらは単に地方の物産を東京の売店で並べていたに過ぎない。

アンテナショップとは昭和50年代後半になって、伝統工芸品や木工家具、車など、消費者のライフスタイルに適合した製品づくりを模索する方法の一つとして生まれてきた。製品展示場を単なるショールームとするのでなく、南青山などデザイン性、ファッション性の高い地区にそれを設け、製造工程の分かる人材を配置し、消費者の一次情報を的確に入手し、それを製造現場に直接反映させ、消費者ニーズに合った製品を生み出すことが目的であった。

昨夏、高知県のアンテナショップ「まるごと高知」が銀座にオープンした。ビル賃貸料は年間7,800万円、職員人件費は9,900万円といわれている(高知新聞、平成22年8月15日)。他の施設も形態はどうあれ、同様の公費が注ぎ込まれている。その波及効果は高いものが期待できる。だが多くのアンテナショップが物販と飲食の売上だけに一喜一憂しすぎてはいないか。各地域の産物を作るのにどれだけの苦労があったのか。その苦労をよりよき産物や製品に進化させていくためには、消費者の新鮮な生の情報をどう取り入れ、活かしていけばいいのか。地方と都市が持つそれぞれの価値を交流する真のアンテナショップの姿が模索されなければならない。

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