全国町村会

高野町の集落支援

法政大学教授 岡崎 昌之 (第2680号・平成21年5月25日)

和歌山県高野町(こうやちょう)の高橋寛治さんから連絡をいただいた。高橋さんはもと長野県飯田市の職員で、多くのまちづくりを手掛けてきた。その実績が評価され、請われて高野町の副町長として地域再生に取り組んでいる。

高野町は弘法大師(こうぼうだいし)が開創した1200年の歴史を持つ真言密教の霊場である高野山を中心に開けた町である。現在でも100万人を越える参拝客があるが、周辺部は高齢化も進み、存続さえ危惧される集落もある。しかし踏みとどまった高齢者中心に高野槙(こうやまき)を実生で育て、墓前に供える枝や苗木を出荷する相ノ浦(あいのうら)集落や、廃校となった小学校を「山の学校」として活動の拠点とし、外部の知恵と力を導入して、何とか集落の再生を図ろうと企てている大滝地区など、いくつかの集落では将来に向けての息吹きが高まり、活力も出始めた。

そうした高まりを他集落へ広げるために、高橋さんが期待しているひとつは、外からの知恵や刺激だ。自らもそうした立場であるが、今回「むらづくり支援員」として全国にサポーターを公募した。町内の集落に3年間住みながら、地域づくりを内側から支援する人材を求めている。報酬は月15万円、住宅は地元が用意、月100時間のフレックスタイム制だ。今回は3名の募集であるが、今後、増員していくとのこと。全国から160人を超える応募があった。ぜひいい支援が具体化することを祈りたい。

国でも「集落支援員」「地域おこし協力隊」など、援助、支援の動きが活発である。ただ支援、援助、サポートとは、本来、望ましくない状態に置かれている現場の改善を目指して発動し、支援者の存在が不要となることを目的とする。高野町の集落のみならず、全国の農山漁村集落の「望ましくない状態の現場」の状況は千差万別だが、居住する生活者の悩みは深く大きい。また外見的には望ましくない状態であっても、支援は拒否されることもある。支援の方策として、解決の方程式や正解に導くマニュアルもなく、まずは徹底して現場の悩みに寄り添う姿勢こそ大切だ。確固とした経験や専門性を持った支援者と、現場の悩みを繋ぐ、町村長や担当者こそが最も重要な立場となる。

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