全国町村会

小学校と連携するまちづくり

法政大学教授 岡崎 昌之(第2669号・平成21年2月16日)

大分県宇佐市は、平成17年3月に宇佐市、安心院町、院内町が合併し、人口6万人の新市となった。旧安心院町はグリーンツーリズムの先進地で、田園風景の中に50軒近い農家民泊が散在する。旧院内町は74基もの石橋を擁する日本一の石橋の町、また町内の各谷沿いに棚田が現存する山村だ。

合併に際しては、周辺部となる旧両町の過疎化を何とか食い止めることが、新市にとって配慮すべき施策であった。しかし合併から4年、中心部への集中と周辺部での過疎化が、じわじわと進んでいることは誰の目にも明らかになってきた。そこで取り組まれたのが「地域コミュニティ推進事業」である。旧両町から意欲的な自治委員会を1つずつ募集し、コミュニティ協議会を設立した。安心院町からは佐田地区まちづくり協議会、院内町から南院内さとづくり協議会である。

特徴的なのは、いずれも小学校区を単位とし、学校側も積極的にまちづくりに関わる体制をとっていることである。各校長が協議会の副会長にもなっており、まちづくり協議会の会合でも積極的に発言している。南院内小学校では、小学校の一室を協議会の事務局として提供し、体育館や校長室も、時に応じて協議会との話し合いの場になっている。

両校とも児童数40人前後の小規模校で、これまでも運動会や地域の祭、校庭の整備、インターン学生の受入れ等を、地区の住民とともに実施してきた。統廃合が進む過疎地の小学校だが、南院内小学校では14年ぶりに羽馬礼分校が復校した。

「日常的に地区の人達が学校に出入りしてくれることが、子供と地区住民の交流を深め、かえって学校のセキュリティを高めてくれる」「お年寄りたちが児童の登下校を見守ってくれるようになった」と両校長は、地域に必要とされる小学校とは何かを真剣に模索している。

まちづくりは幅広く多様な視点で地域を見つめなおすことから始まる。子供の目、高齢者の目、教師の目、行政の目、多くの目が地域に注がれなくてはならない。廃校や余裕教室の転用、利活用も、弾力化されてきた。地域社会にとって身近で重要な拠点である小学校を、地域再生の視点からとらえ直し、新しい連携の方策を熟考すべきではないか。

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