全国町村会

西都古墳祭り

法政大学教授 岡崎 昌之(第2504号・平成17年1月10日)

暮れなずむ宮崎県西都の町を、800を越えるたいまつ行列がゆっくりと進んでいく。逢初川(アイソメガワ)、児湯の池(コユノイケ)、石貫神社など、古事記や日本書紀にあらわれる伝承の地を結んだ記紀の道がたいまつ行列のルートだ。行列が石貫神社の急な階段を登る頃には、日はとっぷりと暮れ、たいまつ行列は赤々と連なる炎の道となる。思い思いの古代衣装を身にまとった参加者どもも大人も楽しげにたいまつを掲げ、行進を楽しんでいる。

階段を上がれば、そこは311基の古墳が闇に広がる西都原の台地だ。ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの御陵と伝えられている、御陵墓前広場を目指して行列は続く。たいまつが広場に到着すると、今度は幻想的な炎の祭典が始まる。高さ3メートルのやぐらにニニギノミコトとコノハナサクヤヒメ役の若者がたいまつで火をつけると、炎は高く舞い上がり夜の闇を焦がす。最初は子ども達のオカリナ演奏、やがて強烈な音楽に合わせ、この炎の周りで古代神話を題材にした神秘的、かつエネルギッシュで現代的な若者達の踊りが展開される。

古墳に眠る昔人の魂を慰めようと、西都市で六百年前から行われてきた山陵祭を、地元の若者が中心となり、現代風にアレンジしたのが、この古墳まつりである。古代ロマンをテーマに、古代米収穫祭、地場産業祭、古代レストラン、神楽、郷土芸能祭、古代ファッションショーなど、幅広い地域文化の集大成となっている。

何といっても圧巻は炎の祭典だが、その音楽、踊り、演出は、すべて地元の青年達によるという。まさに住民による手作りのイベントである。今年で18回を数え、祭の迫力と楽しさを伝え聞いて、宮崎県内外から集まる人出は10万人に達する。市内の様々な立場の若者が、自由に自分自身の楽しみとして実行委員会に参画し、それぞれの役割を果たしている。昨年の実行委員長であった保育士の女性が、今年は、甲斐甲斐しく場内整理をしたり、踊りの手助けをしていた姿が印象的であった。

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