全国町村会

リサイクルセンター美土里(みどり)館

法政大学教授 岡崎 昌之 (第2447号・平成15年7月21日)

関東平野の北辺が八溝山系に交わり、なだらかな里山と人家が散在する丘陵地といった景観が栃木県茂木町の特徴である。しいたけ教室や空き農家貸別荘といった都市農村交流事業を早くから手掛けてきた。最近では住民や民間と共同する試みも多く展開している。

農水省の棚田百選にも認定された石畑地区では、棚田オーナーである都市住民の協力を得て耕作放棄地が再生し、そこで栽培された酒米は町内の造り酒屋で地酒となり、地域限定の地場産品となっている。セイタカアワダチ草の畑と化していた牧野地区では、そばのオーナー制度を取り入れ、その殆どがそば畑となった。地区住民も出資した「そばの里まぎの」には、地元の婦人グループが打つそばのファンが水戸や宇都宮からもやって来る。

最も新しい取り組みが6億3千万円で建設し、今年4月から運転開始した有機物リサイクルセンター「美土里(みどり)館」である。町内に約700頭いる乳牛の糞尿処理が主目的で考えられた堆肥センターだが、そこには茂木町らしい工夫がふんだんに盛り込んである。リサイクルを考え、質のいい堆肥を生産するため様々なものを混入する。まず里山の再生と景観を維持するため間伐材を粉砕してオガ粉にして混ぜる。

里山に溜まった落葉や枯葉を高齢者に依頼して収集し、15キロ当り400円で購入し、これも加える。市街地1,800戸の生ごみも、トウモロコシから作った有機のごみ袋で回収しそのまま混ぜる。農家の籾殻も同様。

こうした処理施設で最も問題になるのが臭気だが、杉や檜の皮を利用した脱臭装置がうまく機能し匂いは全くない。二次発酵では地元の菌が、白い層になるほど繁殖し、分解が進んでいるのを見ることができる。

6億円という高価な施設だが、多面的な意味を持っている。家庭の生ごみは焼却しなくて済む。山に入る高齢者は適度な運動になり、健康増進につながる。里山は美しく再生する。堆肥は農家に還元して、茂木の農産物イメージを高める。10月5日で堆肥ができ、1トン4千円で販売する予定であったが、地元菌の効率が良すぎて処理が予想以上に進み、販売する堆肥が足りないという贅沢な悩みも抱えている。

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