全国町村会

キッズ・ネット ないえ

法政大学教授 岡崎 昌之 (第2357号・平成13年5月28日)

北海道奈井江町は、札幌市と旭川市のちょうど中間にある。かつては炭鉱の町として栄え、人口は2万人を数えた。しかし炭鉱もすべて閉鎖され、現在では人口も7,500人へと減少した。炭鉱時代からの関連で立地している大手電機メーカーと、あとは農業中心の町。美唄の駅前から乗ったタクシーの運転手は「奈井江の町には、なんにもないえ」と紹介してくれた。

しかし現在の奈井江町は、医療と福祉の先進地域として、全国にも知られている。急激な人口減少と高齢化率25%をこえる高齢社会を克服するには、まずは医療と福祉対策が最優先だとまちづくりへの取り組みが始まった。まずは毎年一億数千万円の赤字を出していた町立病院の改革だ。医師会の協力を得て、地元の開業医も医療施設やベッドを利用できる、開放型共同病院にした。こんなに小規模の町村では全国でも初めての試みだった。

この病院を中核に、老人総合福祉施設「やすらぎの家」、高齢者生活福祉センター、高齢者用公営住宅など多様な試みが展開している。介護保険の広域連合としては全国第1号の空知中部広域連合(1市5町)も奈井江町が中心だ。テレビ会議システムをフル活用して介護認定審査も行われている。

こんな奈井江町の新しい取り組みが「キッズ・ネットないえ」だ。過疎地では子供同志も遠く離れている、子供達を一緒に遊ばせたい。働く女性や地域活動への参加のために、託児制度が欲しい。こんな「まちづくり100人委員会」からの発案だった。役場のおもいやり課に調整窓口(サポートリーダー)を置き、子供を預ける依頼会員と援助会員を組織化した。現状では26人の会員が登録し、仕組みがスタートした。1時間500円で住民同志が子供達の面倒をみる。その間、親達はスポーツやコンサートを楽しんだり、ボランティア講座に参加する。子供用品のリサイクル事業も始まろうとしている。

「なんにもないえ」から「こんないいとこないえ」のまちを目指して、奈井江町の取り組みが進む。

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