全国町村会

中山間地域フォーラム

明治大学教授 小田切 徳美 (第2574号・平成18年9月18日)

本年7月1日に、中山間地域再生の支援を行う地域リーダー・行政・研究者・産業界等のネットワーク組織である中山間地域フォーラムが発足した。

フォーラム設立総会・記念研究会の様子は、本誌8月7日号(第2570号)にも詳しく紹介されているように、予想を大きく上回る約200名近くの参加者があった。筆者は発起人会の末席に加わっていたが、正直に言えば、多くとも70名程度の参加者との予想の下に準備が進められていた。そのため、関係者は再三の会場変更のために走り回ったり、当日の事務局態勢を増強したりと、まさに嬉しい悲鳴の連続であった。

予想を上回る参加者の多さは、現在の中山間地域をめぐる関心の高さをそのまま反映している。と同時に、注目したいのが、参加した人々の立場の多様性である。参加者名簿によって大雑把にその属性を見れば、研究者37%、行政関係者(市町村、県、国)30%、民間・個人19%、関連団体12%となっている。

開催案内の開始から、僅か1ヶ月後の開催だったにもかかわらず、このように様々な人々の参集を得たのは、それだけ中山間地域振興が「難問」であることも意味していよう。当日も、集落の住民からは鳥獣被害の厳しさの訴え、研究者からは「中山間地域振興にめざすべきモデルがあるのか」という意見表明が行われ、深刻な問題が多面的に提起されたことが印象的であった。

フォーラムでは、今後、大きくは3つの活動を予定している。第1に、中山間地域再生に向けた研究と政策提言である。特に、来年度(2007年度)に策定が予定されている国土形成計画は、国土の広がりにおける都市と農村のあり方を展望する機会でもあり、当面はこの計画をターゲットとする提言が重要となろう。第2は、具体的な市町村や集落を取り上げて実証的な検討を行い、再生の道筋の提起やそれへ向けた支援を行うことである。この点は、従来にない取り組みであり、参加者は手弁当で地域に入り、多様な立場から支援を行い、その教訓を全国に発信しようとするものである。そして、第3は、これらの活動を基盤とした中山間地域再生の国民的運動の実践である。

こうした取り組みに対して、すでに多くの町村・町村会関係者の参加を得ているが、いわば当事者として、さらに多くの方々の参加を期待したい。

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