全国町村会

真の健康とは

筑波大学名誉教授 村上 和雄 (第2638号・平成20年5月12日)

健康とは何であろうか。健康の定義をめぐっては、世界的に新しい動きが起こっている。WHO(世界保健機構)の健康の定義は次のようなものである。

「健康とは、単に病気でない状態を意味するのではなく、完全な肉体的、精神的、社会的に健康な状態である。」この従来の健康の定義に加えて、スピリチュアルという言葉を追加することの是非をめぐって、半世紀も前から議論が続いている。

そもそもスピリチュアルなものとは、単なる心ではなく、心と体をつなぐ人間存在にとって核となるものを指しており、日本では古来から「霊」や「魂」、あるいは「霊魂」と呼ばれてきたものではないかと私は考える。人間は、肉体と心とスピリチュアルな存在の三つの要素から成り立っているのではないかと考えている。

一般に、私たちは自分の身体を自分のものだと思っている。しかし、物質レベルで見たとき果たしてそうなのだろうか。私たちの身体は、酸素、炭素、水素、窒素などの元素から成り立っている。これらの元素は、すべて地球上の元素からきている。

つまり、地球上の元素を無機物の形で植物が摂取し、その植物を草食動物が食べる。そして、私たち人間は、その動物や植物を食べて生命を維持している。したがって、私たちの身体を構成する元素は、元をたどれば、すべて地球に由来するというわけだ。

そうすると、私たち人間の身体は、地球から「借りている」と言えなくもない。借り物である証拠に、私たちの身体は、一定期間は地球上で使うことができるが、やがて消滅して物質となり、地球や宇宙に還元せざるをえない。

このように考えると、物質レベルでは、私たちの身体の貸し主は地球ということになる。それでは借り主は誰か。それが、それぞれの人のスピリチュアルな存在ではないか。

私たちが真に健康に生きるためには、スピリチュアルの問題を含めた深い感性が必要であると思う。

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