全国町村会

遊休施設の活用に知恵とワザを

早稲田大学教授 宮口 とし廸 (とし=にんべんに同)
(第2642号・平成20年6月9日)

先ごろ、地方自治体が国の補助事業等により取得した財産で概ね10年経過したものを処分する際に、基本的に国庫納付を求めない決定が下された。これには「既存ストックを効率的に活用した地域活性化を図るため」という理由がつけられ、さらに第2項で「10年経過前であっても」、その可能性がゼロでないことが示されている。

過疎地域等で、「廃校にすると補助金を返上しなければならなくなるので、当面休校という形で」という話を、よく耳にした。このことは、住民からの施設利用の新しい提案の実現を妨げる要因の1つであったと思う。「遅きに」という感もあるが、このことに新しい判断が示されたことをすなおに喜びたい。

近年、過疎地域の活性化優良事例の表彰団体にも、廃校となった小学校舎を活用する活動が目立つ。5年前になるが、その表彰の選考委員として徳島県勝浦町の少し奥地にある坂本地区を訪れた。地区の住民は廃校はやむをえないと認めつつも、校舎の活用を目指して行政と話し合いを重ね、住民が働き、住民が体験メニューを提供するグリーンツーリズムの宿として再出発した校舎には大きな活気があった。何よりも学校に灯りが点っていることが地区の元気になるという言葉が、印象的だった。いまも健在である。

昨年度の表彰事例では、高知県の津野町で、旧床鍋小学校の木造校舎を、「森の巣箱」という名の、日用品を販売するコンビニ、食堂、居酒屋、宿泊施設を兼ねた交流拠点施設に変身させた事例が印象的だった。過疎シンポで訪れた福岡県添田町の英彦山(ひこさん)でも、旧小学校舎がスロープカーの駅の観光案内所に変身していた。

かつて地域にはいろんな施設が建てられた。その施設を、いまの時代に新たな価値を発揮する場に生まれ変わらせる作業は必須であると思う。地域にはもともとと大工さんなど、多彩なワザを持つ人がいる。内外の知恵を活用し、ワザを結集して、すばらしい拠点づくりを実現していただきたい。

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