全国町村会

地域内連携の大切さ

早稲田大学教授 宮口 とし廸 (とし=にんべんに同) (第2361号・平成13年6月25日)

近年、介護保険への対応もあって、広域連携にかかわる取り組みが、急速に展開している。基盤となる人口が少ない小都市や農山村で、住民にレベルの高いサービスを提供するためには、隣接する市町村との間の広域連携は必然であり、ぜひともさまざまな工夫のもとに進めていただきたいところである。しかしその一方で、都市から遠距離にある地域から新しい経済的な活力を生み出すためには、まず地域内のさまざまな力と要素を連携させることが大事だということを忘れてはならないように思う。

最近農山村において六次産業化ということがよくいわれる。従来のタイプの農林業では自らの取り分がいくらもないので、一次産品に加工して付加価値をつけ、さらにそれを販売するところまでを地元の組織に取り込んで利益を大きくすべしという考え方である。しかし小規模町村では、農業や林業その他の産業のどれをとってもたいした規模にはならず、この作業を産業タテ割にやっていたのでは不十分である。さまざまな産業部門の間に連携の可能性を見つけ出し、それを行政がコーディネートして、産業部門を超えた複合化を実現することによって、さらに地元の取り分を増やすことが必要なのではないだろうか。

農協や森林組合といった半公的な経済組織が、タテ割りに広域合併を進めたことは、このような内的な力の結集による産業育成の可能性を弱めたのではないかと、筆者は危惧している。高知県の馬路村は、農協の広域合併に背を向けて独自の路線を歩んでいる奥地山村であるが、ここの農協で25億円もの販売額を誇るユズ加工産業が育った背景には、行政を始め、地域内のさまざまな力がかかわっている。ヒアリングにお邪魔した役場の会議室には、村長・役場職員のほかにユズ産業の立役者、森林組合と新しい第三セクターの職員などが一同に会し、彼ら同士の活発な会話の中に貴重な話を伺うことができた。都市で異業種交流が行われているように、産業の連携はまず人の連携からという見本を見せられた思いであった。

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