全国町村会

暴風雨圏下の地方自治

評論家 草柳大蔵(第2348号・平成13年3月5日) 

おかしな常識論が政・財・官・マスコミ界を罷り通っている。森総理の退陣の時機を「予算審議終了後」として、一様に納得しているのがなんとも珍妙な光景である。

これまでに政変の条件として「予算審議終了後」が何度も使われたのは事実である。問題は一に懸って景気への影響を配慮したためで、予算の成立がおくれたため景気の足を引っ張るとか公共事業の施行に支障を来すとかが心配された。

しかし、新年度予算の政府原案は昨年度にくらべると、あきらかに景気刺激型よりも財政再建型である。財政赤字の大きさを今年度とくらべると28兆円と前年度より6兆5千億円小さくなり、したがって公債依存度は38%から35%へと低下している。国の債務残高は国債・地方債・財投の負債を合計すると666兆円になり、過日、宮澤財務相が「中期見通し」の提出を渋ったのも2004年の公債依存度が41%に達することが判明したからである。このような予測をもとに新年度予算が財政再建型へ楫を切りかえたことは、遅かれ早かれ一度は突入し、突破せざるをえない暴風雨圏内に日本丸がさしかかったことを意味しないだろうか。

財政再建は地方自治体の遣り繰りに大きな動揺を与えるが、ここのところは歯を喰い縛って「地方自治」のために役立つものなら、なんでも試行してみることだろう。

町村合併とか広域連合による事業運営なども、さらに徹底化もしくは合理化を進めるのは言うまでもないが、いまいちばん元気のある微生物利用を地元の大学の支援をえて進めるのも得策だと思う。

ご存知の方も多いと思うが、京都府八木町では役場の幹部がデンマークやオランダを訪れ、乳牛や豚の出す糞尿を微生物に食べさせて堆肥の原料をつくるとともに、堆肥化する過程で出るメタンガスを燃やして発電、1日2,500キロワットをこの春から関西電力に売ることに成功した。町内25戸の畜産農家は、いまや“福の神”なのである。

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