全国町村会

形式は機能を促進する

評論家 草柳大蔵(第2288号・平成11年10月4日) 

近頃は町村の首長にお目にかかると、必ずと言ってもいいほど「合併」の話が出るが、これは日本に特有の現象ではないように思われる。イタリアには「100人市長の会」というのがあって、それぞれの市が「高齢者対策」「廃棄物処理」「交流型経済のプログラム」「テレビと児童教育」など共通の問題を抱えており、個々の自治体で解決するよりも、問題別に連合してあたった方がよいのではないかという提案が目立つようになった。その議論の過程で出てきたのが、「形式は機能を促進する」という新しい原理である。

なんのことはない、この「形式は機能を促進する」は、日本ではすでに始まっている。

鳥取県に西伯町という人口8,300余人、古い伝統の一式飾り(たとえば古銭だけで武者人形を作るなど)を伝える町がある。そこの町長の坂本昭文氏の呼びかけで、会見町、岸本町、日吉津村が「介護保険」をなんぶみのかやテーマに「南部箕蚊屋広域連合」を結成、すでに二年を経過している。坂本町長からお話をうかがったが、2年の間に養成した「介護士」は100人におよび、さらに新しい芽を感じたのは、県知事から「介護サービス支援業者」の許可・不許可・取消しなどの権限を委譲されたという。行政サービスの未来像としてはあたりまえのことで、介護という「体温の感じられるサービス」のために、いちいち県庁なり地域出張所なりにハンコを貰いに出かけたのでは話にならない。権限を委譲した知事も先の見えたお仁(ひと)だと感心したが、その実績をつくった「広域連合」もなかなかのものである。さて、「介護サービス」を連合でやった場合と自治体が単独でやった場合の経済効果(この場合は費用対効果)はまだハッキリしないが、連合した町村が保健料のリスクを分散できることは確かであろう。なお、この広域連合に参加した日吉津村は他の3町から遠く北へとび離れている。「町村合併」ではこのような周縁部の自治体をどうするかも課題だが、空間ばかり見ないでテーマという括り方も解決法になるのではないか。知恵は出してみるものだ。

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