全国町村会

小さな村の物語 イタリア

九州大学大学院法学研究院教授 木佐 茂男(第2870号・平成26年2月17日)

BS日テレの土曜日夜の連続番組に「小さな村の物語 イタリア」がある。2007年開始の番組も本紙発行日には第109回目(2014年2月2日放映)となる。 日テレのHPにはイタリア地図に全ての取材場所が落とされている。毎回欠かさずというわけにはいかないが、録画も含めてよく見る。 番組紹介のHPの紹介欄の一部を抜き書きすると、「先人たちが築き守ってきた伝統や文化を誇りに思いながら生きる。人間本来の暮らしが息づく「小さな村」が今、注目されています。 古き良き歴史と豊穣の大地を持つイタリアで、心豊かに生きる人たち。“美しく暮らす 美しく生きる”とはどういうことなのか。私たちが忘れてしまった素敵な物語が、 小さな村で静かに息づいていました。」とある。毎回、息を呑む美しい村々と暖かな家族生活が描かれている。心が落ち着く。

小学生が登校時に町長室に行き学校で発表する資料をコピーしてもらっているし、郵便配達人がほぼ全戸に新聞も配り住民の安否確認の役をしている。 ヨーロッパの小さな町村を描いた良心的番組はこれ以外にもBS放送に結構多い。

イタリア、スイス、ドイツ、そしておそらくフランスも、なぜ小さな村が美しいのか。住民が手作りできる範囲の権限と、選ばれるべくして選ばれる町村長の意義は大きい。日本では、 広域合併により廃止された町や村の区域には疲弊の著しい所もある。合併で消滅した市の区域でさえそうである。日本の小規模自治体には仕事が多すぎる。 事務処理のため合併するしかない状況に追い込まれているようにも見える。ヨーロッパの小さなまちの役場の権限は少ないし、開庁時間も短い。代わって広域行政組織が良く動く。

昨年の秋、台湾の最南部、高雄市や屏東(ピンドン)県庁を訪れた。台湾の、直轄市を除く市町村では、県が固定資産税の賦課徴収をしている。実際、 日本の地方税法が求めている全市町村独自の賦課徴収(例外あり)や、同一市町村の中でも各課係が縦割で徴収するのは不効率きわまりない。身近な自治や分権改革を言うのであれば、 権限配分のあり方、広域行政組織の本当の活性化を改めて考えるしかない。さらにつきつめれば人事制度改革なくしては何も前に進まないだろう。考えるべきことは途方もなく多い。 住民の意識改革という、不可能にもみえる大作業が前提であるが。

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