全国町村会

駅弁・空弁・行弁

九州大学大学院法学研究院教授 木佐 茂男 (第2607号・平成19年7月9日)

バブル時期の豪華な注文駅弁などは幹線鉄道でもなくなったようだ。ローカル線も高速化、停車駅も減少、そして停車時間も短くなった。大型駅でも鉄道の子会社の直営売店が多くなったためか、少量生産の個性的な駅弁は減ったように思える。その反面で、新語の「空弁」が登場した。

地方分権が進むと日本国内の各地発着の羽田行きの便は搭乗率が下がるはずだ、と私が冗談半分で衆議院の地方分権推進特別委員会の参考人として述べたのはもう13年も前のことになった。しかし、分権改革以降、確実に羽田線の需要は増え、滑走路をいくら増やしても足らないようだ。「空弁」の需要はますます大きくなる。

このたび、新たに「行弁」が加わった。お初にお目にかかる文字、という読者も多いことと思う。略称は「ぎょうべんネット」、ちょっと長めに「ぎょうべんネットワーク」、さらに正式に言うと「行政関係事件専門弁護士ネットワーク」である。2006年9月に発足し、ホームページがある。これから小規模自治体にも法的な問題がたくさん出てくる。住民や事業者の声は強くなり、それが単に陳情や圧力ではなく、法的主張として整理されて登場する。これまで、放置主義だの呆痴主義だのと揶揄されていたのが、法治主義に向かい行政職員の法的理論武装もいっそう必要となる。

今までは、裁判所も行政側を勝たせることが多かったが、最近では行政事件訴訟法の改正もあって、事業者や住民の勝訴例も増えている。

この新ネットワークは、複数の行政問題を得意とする弁護士が最低2名で、自治体からも住民からも相談、訴訟事件に対応する。もっとも一つの事件に双方の代理をすることはできないから、困ったときにはある意味で早い者勝ちになりそうである。

先頃、九州ブロックでも市民へのお披露目のフォーラムがもたれ、行政専門弁護士の助言で助かったという報告を自治体からいただいた。一度、「行弁」の味見もお願いしたい。

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