全国町村会

パーク・アベニュー

静岡文化芸術大学学長・東京大学名誉教授 木村 尚三郎
(第2545号・平成18年1月16日)

景観が美しい、テロ・犯罪がなく集い楽しむ安心がある、歩く楽しさがあり動きやすい。この「美、安心、動」の三要素こそ、これからの都市の魅力にとって最大のものであると思う。誰もがペットボトルを持ち、携帯を持ち、弁当その他を持ち、ときにはノート型パソコンまで持って、カバンやリュックとともに、「歩きながらくらす」のが現代である。町全体が、かつて家の機能を持ち出し、人は常時動いている。

町なかを練り歩くよさこいソーラン節や阿波踊り、みこしや山車、竿灯の類いが、全国各地でさかんに行われるようになった。このような「集い楽しみつつ移動する」可能性を限りなく高めるのは、内外の人が交流するこれからの町づくりに欠かすことが出来ない。

パリ西北郊の未来型都市ラ・デファンスには、いわゆる「新凱旋門」からセーヌ川にかけて、道幅百メートル前後の大遊歩道が設けられている。それは、公園のようであって大通りであり、大通りであって公園でもある。車は一切走ることが許されず、すべて地下を走らされている。地上では本を読みながら歩いたとしても、人にぶつかる心配はない。

そのような、パーク・アベニュー(公園大通り)とでも云うべきものが、都市に求められる時代がやってきた。

2010年には平城遷都1300年祭が、奈良県で開催される。710年、唐の長安の都をモデルにしたとされる平城京には、道幅七十メートルの朱雀大路が中央大通りとして走っていた。かつては災厄除けの仏事とか雨乞い、歌垣などもここで行われていたという。

奈良1300年祭にはこの朱雀大路を、今は空地となっている平城宮跡に、パーク・アベニューとして創り出す予定である。そしてこれを軸として、人びとが動きやすく、互いに集い楽しみつつ友となり合い、そして美しい、21世紀型の都市モデルの姿を提起したい。総合プロデューサーとしての期待は、ふくらむばかりである。

執筆者一覧
 バックナンバー
青山 佳世
阿川 佐和子
今井 義典
梅川 智也
大江 正章
大森 彌
岡崎 昌之
小田切 徳美
加賀美 幸子
金澤 史男
木佐 茂男
木村 尚三郎
草柳 大蔵
榊田 みどり
坂本 誠
生源寺 眞一
竹内 政明
田嶋 義介
玉村 豊男
内貴 滋
西川 治
沼尾 波子
橋立 達夫
松本 克夫
宮口 侗廸
村上 和雄
山本 兼太郎
結城 登美雄