全国町村会

七夕まつり

千葉市男女共同参画センター名誉館長・NHK番組キャスター 加賀美 幸子
(第2846号・平成25年7月8日)

一年を通して、日本各地は、さまざまな祭りで彩られるが、老若男女、だれもが幼い時から、短冊に願いをこめて笹飾りをするのが七夕まつり。大がかりな祭りから、幼稚園での小さな行事まで、 私たちは親しみを込めて、牽牛と織女が一年に一度会える日を応援し、自らの願いも重ねて、星に祈ってきた。七夕は心やさしい祭りである。

もとは、中国で生まれた伝説行事だが、春秋時代、孔子まで、遡れるのである。

孔子が編纂したとも言われる『詩経』は、中国でもっとも古く伝わる詩集だが、その中に七夕の詩がすでに存在しているのである。

孔子の時代といえば、紀元前約500年というはるか昔のこと。

しかし、2つの星の恋愛関係がはっきりしてくるのはもっと後で、『文選』の中だそうである。『文選』は我が国にも早く伝わり、奈良時代には貴族の必読書であり、平安時代以降、 多くの文人たちが深く学んだ詩文集だが、日本人の心に、ロマンチックな七夕伝説はすぐに浸透し、絶えることなく、日本の大事な季節の祭りとなり、人々の思いをつないできたのである。

7月7日といえば、奇数が重なる日…中国では、奇数の重なりが大事にされたという。

そういえば、1月1日の正月、3月3日の雛の節句、5月5日の端午の節句、9月9日の重陽の節句…どれも奇数が響きあう、嬉しい日である。

端午の節句はすでに過ぎたが、「端」とは「初め」という意味、「午」とは午(うま)の日のこと。元々は、その月の最初の午(うま)の日をみな「端午」の日としていたのだが、 午(ご)と数字の五(ご)の響きの連想の結果、いつの間にか5月5日となったらしい。

奇数が重なり合う日はめでたく、その日に、悪霊を払い、幸せを祈ったのだ。

その心は日本に伝わり、しっかり定着した。物事を遡ると、時代を超え、国を超え、季節や幸せを願う気持ちは同じであることをいつも嬉しく感じるのである。

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