全国町村会

交流から協力へ

NHK解説主幹 今井 義典(第2536号・平成17年10月10日)

日本の自治体が海外と姉妹都市の縁組をするようになってから今年で50年になる。私の町でも、かつて南仏のリゾートとの縁組が実現し、「姉妹都市」という耳に心地よいことばの響きが、異国への想いをかきたてたことを思い出す。今では900余りの市町村が延べ1,400件の縁組をしている。海外との交流が容易でない時代に、歴史や自然環境、あるいは都市の形態などを基準に、苦労して縁組の相手を見つけ、はるかかなたの世界との交流に一肌脱いだ市町村の功績は大きい。しかし縁組の相手を国別に見るとアメリカなど欧米の先進国や近隣の東アジアの市町村との縁組が目立つ。逆に南アジア、中東、アフリカなど途上国の都市は数えるほどしかない。

そこで提案なのだが、グローバル化が進む中で、姉妹都市のあり方を少し違う角度から見直してみてはどうだろうか。最近ヨーロッパの国々では、市町村のレベルでの「国際交流」を「国際協力」にシフトするところが少なくない。大掛かりなところではイタリア北部のレッジオエミリア市(人口15万)が挙げられる。ここでは市の拠出金のほか、国連やEUから資金の提供を受けて、国際協力活動を効率的に進めるための専門的な組織を作った。そして地元のNPOを物心両面から支援して、民族紛争に打ちひしがれた旧ユーゴやパレスチナの町、貧困にあえぐアフリカの町などとの交流や人道的支援に乗り出しているという。

実は日本にもそうした自治体がある。島根県奥出雲町(旧横田町)がいい例だ。「雲州そろばん」で有名なところだが、家庭や事務所で眠っているそろばんを集めて、タイやラオスの地方の町に贈り始めてもう10年以上になる。しかもそろばんを児童に教える先生の現地指導にも当たっているのだ。電卓やパソコンの時代だが、今でもそろばんの算数教育の上での効用は計り知れない。それが途上国の子供たちのあすへの飛躍の後押しをしている。

日本のコミュニティに広がりつつある善意のNPO活動の輪を、それぞれの自治体が足元の活動から草の根レベルの国際協力に結び付け、世界に広げていく時代が来ていると思う。

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