全国町村会

大学・地域連携の離れ業

作新学院大学総合政策学部教授 橋立 達夫 (第2940号・平成27年11月16日)

  

大学の地域連携が盛んに行われるようになった。文科省も大学の評価基準の重要分野として地域連携を掲げている。もともと行われてきた教員個人の「学識経験者」として会議参加のみならず、近年は、 まちづくりや特産品の開発など、地域の現場にかかわる仕事に多くの大学が参入し、学生による活動も広範に行われている。地域の高齢者は若者が行くだけで元気が出てくる。「おめえ、 こんなことも知らねえのか?」と言いながら、目は笑っている。そしてほとんどが核家族で育った学生たちは、お年寄りの力強さ、やさしさ、知恵や技に魅せられ、多くのことを学んで帰ってくる。 こうして互いの信頼感や愛着が育まれる。

連携はお互いにとって良いことづくめであるが、実はここに大学、地域の双方に共通する悩みがある。活動の継続性を保つことが難しいのである。学生が地域の活動に打ち込めるのは長くて3年である。 しかもこうした活動に興味を抱く学生の数は、年々大きく変動する。どういうわけか、経験的には1年おきの波がある。学年縦割りの組織で活動するなどしても、事業の目的や意義など根本的な部分を伝え、 当初の熱気を継承するのは難しい。さらに、大学は地域から逃げ出すわけにはいかないが、毎年新たな地域からの協力依頼があるため、同じ地域でずっと活動を続けることは難しい。 いや、逆に言えば、地域から離れることを前提として事業に加わることが必要なのである。

私は、一つの地域で事業に関わることのできる期間を2〜3年として、その中で地域の活動が持続的に行われる仕組みを作ることが肝要であると考えている。まずは何のために事業を行うのかという根本的な意義と目標を、 地域の方々と共有する。その上で、コミュニティビジネスを立ち上げるなど組織化を促し、農村都市交流で、私たちに代って持続的に活動してくれる外部サポーターを探す。私の大学のM教授は、 地域の食材を生かしたカフェを学生たちに経営させ、経営が軌道に乗った段階で地域有志に譲るという見事な「離れ業」を持っている。

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