全国町村会

新米防災担当役員になって

作新学院大学総合政策学部教授 橋立 達夫 (第2931号・平成27年8月31日)

  

この4月、地域自治会の役員になってしまった。選挙で選ばれたのだが、自分自身、自宅と大学のある宇都宮との二重生活なので、地元での知名度は低い。社協の役員をしている妻と、 犬用車いすで散歩していてすっかり有名になった愛犬の七光りでの当選である。69歳の私だが、ご他聞に漏れず高齢化が進む自治会内では新米の若僧で、役職は「セキュリティ担当」。 土曜日ごとに地区内の防犯パトロールをし、地域の祭りでは交通整理と焼きそば屋さん。会場の設営・撤営に大汗をかいた。

さて、防犯面の活動はともかく、防災・減災面の現状はお寒い限りである。数年前に自治防災会が立ち上がっていたのだが、実際の活動はほとんど皆無。当時の役員からの引き継ぎも行われていない。 市の働きかけで行われる防災訓練も、起震車での地震体験と消防官の講話くらいで、実際の役に立ちそうもない。防災士の資格を持つ同僚が、役員会で防災・減災体制の整備を提案したが、 仕事を増やしたくない役員からは「行政や消防に任せておけばよい」など、消極的な意見ばかりである。そこで私は、「阪神淡路大震災の時には、電柱が1万8千本も倒れて、被災地に消防車も救急車も入れなくなった。 罹災者の救出や初期消火は、自分たちでやらざるを得ない。」という話をして、どうにか取組みに対する理解を得ることができた。

しかしいざ始めようと思っても次々と難題が明らかになる。市からは小学校に設定されている避難所の運営を頼まれているが、地区内の緊急活動と避難所運営を、数少ないメンバーで両立させることは困難である。 そもそも、ベッドタウン化している地区内では、災害発生時に誰がいるのかも定かではない。消防団があるわけではなく、消火栓があっても使い方も分からない。

学校との連携を図りながら地区防災・減災計画を立てて、災害図上訓練(DIG),避難所運営訓練(HUG)などを実施するのが理想であるが、とりあえずアンケートと初期消火訓練を実施することになった。 前途多難である。

もう50年近くもまちづくりの現場を歩いてきた私だが、紺屋の白袴であったことを今更ながら自戒している。

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