全国町村会

「義捐金」から「支援金」へ

作新学院大学総合政策学部教授 橋立 達夫 (第2763号・平成23年6月13日)

東日本大震災が起こって3ヶ月。いまだに緊急避難所暮らしの方々が数多く居られる。同時に起こった原発事故への対応に追われているとはいえ、政府の被災地対策はいかにも遅い。確かに、自衛隊がいち早く現地に出動し、被災者救助とがれきに埋まった被災地の片づけに当たっている。2ヶ月以上ものテント生活の不便を押して日夜活動されている姿には本当に頭が下がる。しかし、それ以外の国の施策は一向に進まない。緊急の補正予算すら国会に提出できない状況は、政治不在ともいうべき状況である。初夏の鳥ホトトギスも「テッペンカケタカ」と鳴いている。

そのような状況の下で、被災地を支えているのは市民の力である。医療や介護、ライフラインの確保などについて、全国から有志の専門家が集まり、素早い対応が行われた。また被災地の医療・福祉従事者が、自らも被災した中でいち早く活動を開始した。さらに避難者の生活支援については、地域のまちづくり系のNPOなど市民活動団体が、その役割を担っている。彼らの立ち上がりは極めて早く、全国の仲間たちとのネットワークを活かして、現場の被災者の必要に沿ったきめ細かい支援活動を行っている。支援物資の調達や配給、ボランティアの募集・派遣はもとより、入浴等のサービス、食物アレルギーを持つ被災者への食材の配給、車いすを失った被災者のための車いすの寄付募集などである。支援者の国際的なネットワークによりドイツからおもちゃが届けられたりもする。行政による一律的な対応では手の届かないところへの対応には目を瞠るべきものがある。

今、こうした市民活動団体に支援金を送り、活動の後方支援をする動きが広がっている。日本赤十字社や中央共同募金会には、すでに数千億円の義捐金が集まっていると聞くが、被災者の手元には一向に届かない。最終的な配分先が不透明で、また時間もかかる義捐金に対して、実際に地域で力を発揮する組織を直接支援する支援金の即効性と実効性に注目が集まっている。

 

 

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