全国町村会

海外に学ぶこと

フリーアナウンサー  青山 佳世(第2898号・平成26年11月3日)

日本の誇る美しい紅葉の季節、さわやかな過ごしやすい自慢の季節も以前に比べると短くなってしまったようです。失くして初めてその価値が分かります。 そんな素晴らしい自然や文化をもっているのに日本人はとかく海外の事例に学ぶことが好きです。何かを始めるときには必ず海外の事例はどうかが出発点です。しかし土地柄、国民性、 慣習などの違いがある中で、失敗や成功を重ねて作り上げられた仕組みですから、参考にはなっても、そのまま日本に取り入れるにはなじまないこともあると思っています。

しかし「やっぱり学ぶことは多い!」アメリカの国立公園第一号のイエローストーンやグランドティトンに行った時に、ユニバーサル社会の考え方、自然や景観に関しては断然日本より進んでいると痛感しました。

広大な面積をもつアメリカの国立公園は、徹底して自然を保護しつつ、多くの人々に自然を楽しむ場として開放しています。一つの公園の入園料は車一台、一週間有効で15ドルから25ドル、 どこの公園でも通用する年間パスポートは80ドル。入園料を取る代わりに徹底した自然保護、自然景観への配慮、快適な利用者サービスを行っています。 手を入れない部分と自然の大切さを感じてもらうために手を入れる部分のバランスが程よいのです。

レンジャーが自然に目を配り、説明をしてくれます。公園内にある民間の宿泊施設は、自然景観に配慮した色使い・デザインが義務付けられ、かつ自然の中にもかかわらず快適でおしゃれ、おいしい食事も提供。 極めて人気が高くシーズン中はいつも満室です。(どこかの国の高くてまずい山の食事とは大違い・・最近は少し改善されましたか)先住民との関係や、 観光客の受入れとの兼ね合いなど長い歴史と試行錯誤を重ねて今の形が出来上がりました。

日本では、既存の観光施設の中には古くて環境対策のできていないものや自然景観に合わない建物が多く見受けられます。自然の美しさと恩恵を受けて生業としているのに、 自然への配慮を怠るというのは困ったものです。新しい施設へはある程度の景観・環境に対する規制ができつつありますが、既存の施設への対応はほとんどできていません。入園料を取るのでも、 恐る恐るトライアルをしてようやく実現。自然保護のあり方はさることながら、自然の恵みで生きている私たちの意識と行動はまだまだ海外に学ばないといけないようです。 世界遺産になるかならないか別にして足元は大切にしたいものです。

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