全国町村会

『明るい公務員講座』

時事通信社刊 岡本 全勝 著
定価(1500円+税)

明るい公務員

 職場でスリッパをはいているのはおかしい。役所ではお客さんをエレベーターホールまで送っていかない。  

 本書は基本に立ち返り、「役人の作法」を徹底的に説いている。総務省キャリア官僚で、県庁事務員から事務次官(復興庁)まで務めた著者が、公務員生活38年の体験を基に書き上げた「仕事の本」だ。 

 本書には徹底した「合理主義」と、暖かな「人情」が同居する。

 まず、「合理主義」。  

 著者は会議が嫌いだという。「仕事場の敵だとさえ思っています」「時間の浪費である会議が多い…」。資料配布とメールでの意見交換で済む会議、目的が不明確な会議がたくさんある。意思決定なのか、意見交換なのか目的をはっきりする。終わりの時間を決める。 

 超勤問題については「手を抜く」ことも提示する。「100点満点を目指すのをやめましょう。80点を目指してください。多くの仕事で、残り20点を取ろうとすると、80点を取ることに費やした以上の労力が必要になるのです」。

 文書作成術は出色だ。報告書は1枚にまとめる。項目は3つまで。人間の脳は1、2、3の次は「たくさん」。4つ以上書くと上司の頭には何も残らない。書いた文をいちど英語に訳してみる。主語、目的語を考えることになる。  

 「人情」では、若い職員の悩みについて強い思い入れを示す。 

 「あなたは仕事に悩んでいると思っていますが、実は人間関係で悩んでいるのです」。

 若い日に「仕事恐怖症」になった自らの体験を打ち明ける。報告書をまとめて上司に提出したが、何度説明しても了解してもらえない。先輩が心配して飲み屋に呼び出してくれ、話したことで前に進めた。「特効薬は相談すること。常備薬は友人や先輩です」。

 「(上司とうまくいかない職員の話を)よくよく聞くと『上司が間違っているのでしょうか、私が正しいのでしょうか、どちらなのでしょう』と言っているように聞こえる」。  

 「(若い時は)話を聞きながら腹が立って、目の前の茶わんを投げつけたいと思ったことが、たびたびありました。その時は、ぐっとこらえて、テーブルの下で指を折って10数えました」。

 本書の明るい筆致とユーモアからは、仕事や人生を楽しむ著者の生き方が伝わってくる。

新刊紹介
シリーズ田園回帰G 世界の田園回帰 11カ国の動向と日本の展望
『明るい公務員講座』
自由貿易は私たちを幸せにするのか?
シリーズ田園回帰E 新規就農・就林への道
農村×都市=ナリワイ 日本のクリエイティブ・クラス
「中国山地 過疎50年」
シリーズ田園回帰F 地域文化が若者を育てる
『流しの公務員の冒険』
シリーズ田園回帰D ローカルに生きる ソーシャルに働く
シリーズ田園回帰C 交響する都市と農山村 対流型社会が生まれる
田園回帰がひらく未来 農山村再生の最前線
中山間直接支払制度と農山村再生
空き家対策の実務
シリーズ田園回帰B 田園回帰の過去・現在・未来
日本のTPP交渉参加の真実−その政策過程の解明−
地域再生入門 寄りあいワークショップの力
ローカル志向の時代 働き方、産業、経済を考えるヒント
シリーズ田園回帰 農文協刊
自治体職員再論〜人口減少時代を生き抜く〜
これだけは知っておきたい!外国人相談の基礎知識
地域に希望あり ―まち・人・仕事を創る
はじまった田園回帰 現場からの報告
農山村は消滅しない
『月刊自治体ソリューション』
震災復興と地域産業5 小さな“まち”の未来を映す「南三陸モデル」
「市町村合併による防災力空洞化」
検証・平成の大合併と農山村
農山村再生に挑む―理論から実践まで―
アベノミクスと日本の論点−成長戦略から成熟戦略へ
地域に飛び出す公務員ハンドブック
日本、買います―消えていく日本の国土―
自治体のカタチはこう変わる―地域主権改革の本質―
「よくわかるTPP48のまちがい」−TPPが日本の暮らしと経済を壊すこれだけの理由−
新しい公共と自治の現場
飛騨山里の役場吏員の生涯−手づくり地方自治五十年の風景−
若者と地域をつくる―地域づくりインターンに学ぶ学生と農山村の協働―
「農」と「食」の農商工連携−中山間地域の先端モデル岩手県の現場から−
鳩山政権の100日評価〜言論ブログ・ブックレット014〜
スローな未来へ「小さな町づくり」が暮らしを変えるー
地元学からの出発ーこの土地を生きた人びとの声に耳を傾けるー