全国町村会

山本会長が坂口厚生労働大臣と意見交換
−医療制度改革について−

 坂口厚生労働大臣は1月20日、昨年12月に示した医療保険制度の体系の在り方に関する厚生労働省試案について、全国町村会の山本会長(福岡県添田町長)と意見交換を行いました。
 今年度末の基本方針の策定に向けて関係団体と意見交換を行ったもので、この中で山本会長は、国民健康保険を県単位に一元化するとの試案について、全国町村会がかねてから主張してきたことが反映されており評価できるとするとともに、高齢者医療については、独立方式では新たな負担により国保財政が耐えられないため、リスク構造調整方式が望ましいと述べました。
 山本会長の意見陳述と意見交換の概要は次のとおりです。




◆山本会長意見陳述
 私どもは以前から医療保険制度の一本化を主張おり、その立場から試案を読むと、意見が100%反映されているとは言わないが、一元化という表現でまとめられており、非常に高く評価している。
 私は社会保障審議会医療保険部会にも国保側の委員として、国保の改善なくして日本の医療の安定はないとその都度申し上げてまいった。保険制度は国保、政管健保、組合健保等に分立しているが、この中で最も財政状況が苦しく保険料を多く徴収しているのが市町村国保だ。
 法定外の負担を約3,500億円投入しているにも関わらず、1,800億円以上の赤字を抱え、これに法定分の負担を含めると莫大な金額になる。この財政状況を考えると、国保は破綻していると言える。国保の救済なくして日本の医療の存続はあり得ない。
 なぜ国保が他の被用者保険に比して苦しいのかというと、制度創設時からの事情がある。国保は国民皆保険制度を築くために設けられたことは周知だろうが、昭和四十年度には自営業が25.4%、農林水産業が42.1%、無職が6.6%を占めていたにも関わらず、平成12年度には自営業が18.3%、農林水産業が5.5%、無職が49.5%、平成27年度には自営業が20.9%、農林水産業が25.5%、無職が57.1%まで農林水産業が衰退し、無職が増加するという予測がたっている。定年退職者が年々増加しており、この方達が皆国保に加入するという状態である。 このようなことを勘案すると、同じ医療を享受するのに保険料に格差が生じていること自体がおかしな問題であり解消する必要がある。そして保険者が市町村になっていること自体にも問題がある。
 また、地域格差が出発時点からあったわけだが、時代の流れとともに富裕な市町村とそうでない市町村との格差がより大きくなってしまっているというのが実態であり、平成12年度で1,722保険者が赤字となっている。これらの赤字保険者を中心に3,500億円もの一般会計からの繰り入れには耐えられないというのが実態である。負担が可能なのは今年が限界ではないだろうか。かなりの保険者が破綻するという状況が考えられるので早急に救済のシナリオを設ける必要がある。
 厚生労働省でもこのような国保の現状を理解していただき、若干だが助成制度を設けていただいたりして、何とか平成十四年度まで持続してきたという状態であり、保険者を市町村にしたことが原因と考えられる。先ほど述べたように、昔は時代背景から市町村が保険者になるのが最善であったが、今は医療費の状況も西高東低であり、全国でまとめて一本化し運営をするというのもよいが、あまりにも医療費の格差があるのだから、県単位に保険料を設定するのが最善だと思う。保険料の低い地域が、あまり極端に高くなってしまうのは逆に不公平とも考えられるのではないだろうか。県単位での保険料の操作を行うべきだ。更に全国的な連合体を作ることによって、財政的にも安定しうる体力を付けることが出来る。したがって財政上の問題とリスクも減少していく。できれば県一本にまとめあげ、それを連合の形で全国一本化にまとめあげるようにするべきである。
 試案は「一本化」と「一元化」という言葉が異なるだけであり、今回の試案ではその点も十分に配慮されていると理解している。
 高齢者医療については、独立方式(B案)とリスク構造調整方式(A案)の2案が示されているが、大臣が主張されているリスク構造調整方式(A案)の方が望ましいと考えている。もし、独立保険方式を採用された場合の国保の財政影響を見ると、6,000億円もの新たな負担が増えると示されていいる。現状でさえ約3,500億円もの一般会計繰り入れを行っていても1,800億円以上の赤字が生じているというのに、更に国保の保検者がそんなに負担できるわけがない。その点についても十分な配慮をお願いしたい。
 ぜひとも国保の県単位の一本化と全国的な連合化の実施をお願いする。そして高齢者医療については、独立保険方式ではなく、リスク構造調整方式で対応して下さるようお願いする。

◆意見交換
○坂口厚生労働大臣
 国保の苦しい情勢については存じている。
 例えば、保険者を都道府県単位とした時に一体誰が保険者になるのかという問題がある。大阪や東京のような大都市も一つにするのか、それとも二つに分割するのか。また、市町村国保の厳しい状況を知っておきながら、はたして県が「任せておけ」と引き受けてくれるだろうかという問題もある。
 現実的には、市町村全体で一つの新たな団体を設置し、そこが運営せざるをえないのではないかと思う。しかし、いずれにしても保険料徴収についてはなかなか簡単にはいかないだろう。市町村にお手伝いいただくようになると思うが、そうなった時にはお手伝いいただけるか。

○山本会長
 私の福岡県では72の市町村が集まって介護保険で広域連合を組んでいる。保険料については、一応広域連合で徴収をしている。しかし、国保に上乗せ徴収されるものだから、通知等は広域連合が行うものの結局は市町村に依存する形となっている。県は国保の苦を知っているからこそ、引き受けはしないだろう。そこで地方自治体の公的な団体を新たに作り、代行するのがよいのではないだろうか。しかし、今の広域連合の制度は決して十分なものではなく、改正の必要がある。そして県も広域連合に加入し一本化に近づけることができるのではないだろうか。
 市町村による県単位での公的な団体を作り一本化をする。更に全国的な連合組織を作り全国で一本にすべきだ。そうすることにより、 情報のやり取りが可能となるので、医療そのものに対する皆さんの知識が高まることと、健康とか病気とかの意識が高まるという効果が現れると思う。
 広域連合の制度を改正して、実施しやすい広域連合を構築すべきだ。

○鴨下副大臣
 高齢者医療と介護についてだが、介護と高齢者医療の相互乗り入れ的な状況についてどのようにお考えか。
 例えば、出来るだけ高齢者医療費を減らすために介護に集中させるべきだとか。

○山本会長
 問題として療養型病床群が挙げられる。これは介護でも医療でも、どちらにも該当するようになっている。区分けを明確にすべきであり、基本的には全て医療保険の適用とすべきだ。そもそも、介護は医療のサポーター的な位置づけなのか、それとも介護で主役になるのか、現状では曖昧だ。

 

 

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