全国町村会

平成15年度予算編成に向けて本会役員が実行運動

 
 全国町村会は、平成15年度政府予算編成を控え、11月28日に予算対策本部を設置するとともに、12月12日に常任理事会を開催し、「市町村合併・小規模市町村に関する要望」、「町村財政基盤の強化」など九項目の重点要望を採択し、会議終了後、役員が自由民主党及び関係省庁幹部に実行運動を行いました。
 実行運動は4つの班に分かれて実施。@自由民主党には山本会長(福岡県添田町長)、齋藤副会長(茨城県関城町長)、田中副会長(岐阜県垂井町長)、児玉副会長(広島県高宮町長)が、A総務省と国土交通省には北林監事(秋田県上小阿仁村長)、針ヶ谷常任理事(群馬県板倉町長)、伊藤監事(新潟県黒川村長)、服部常任理事(三重県菰野町長)、松本常任理事(佐賀県北方町長)が、B厚生労働省には青木常任理事(東京都日の出町長)、西平常任理事(石川県田鶴浜町長)、野中常任理事(京都府園部町長)、冨永常任理事(熊本県菊陽町長)が、C農林水産省には佐々木常任理事(北海道えりも町長)、鹿野常任理事(宮城県鹿島台町長)、岩谷常任理事(島根県旭町長)、丸山監事(愛媛県双海町長)がそれぞれ実行運動を行い、重点要望事項の実現を要望しました。



平成15年度政府予算編成ならびに施策に関する重点要望

1.市町村合併・小規模市町村に関する要望
 市町村合併が、厳しい財政状況の中、経済合理性、財政効率が優先され、地域の地理的、歴史的、社会的な要因が十分勘案されぬまま、半ば強制的に進められている状況にある。
 合併は地方自治の根幹に関わり、将来にわたる地域のあり方や住民生活に大きな影響を及ぼす事項であり、あくまでも関係町村の自主的な判断を尊重することが、何よりも重要である。
 また、関係各方面において、一定規模の人口に満たない市町村の権限の制限・縮小や他の基礎的自治体へ編入等町村の存立さえも否定する議論がなされている。
 このことは、地方自治の本旨、地方分権の理念に照らしても相反するものであり、今日まで町村が果たしてきた役割を評価せず、また明確な根拠も示さないまま、町村が小規模なるがゆえに能力がないと一方的に決めつけて、人口規模の小さい町村を切り捨てるものであり、到底容認できるものではない。
 我々町村が将来にわたって、一定水準の必要不可欠な公共サービスを提供できる自治体として、その役割を果たせるよう、下記事項について国に強く要望する。
1.市町村の自主的判断を十分に尊重し、財政的締め付けの強化等により合併を強制しないこと。
2.人口が一定規模に満たない市町村について権限を制限・縮小したり、他の自治体へ編入することは、絶対に行わないこと。

2.町村財政基盤の強化
 町村は、自主税源が乏しい中、地方分権の進展を踏まえ、介護保険の実施など少子・高齢社会への対応をはじめ、低位にある生活環境施設の整備、資源循環型社会の構築等の環境施策の推進、厳しい条件下にある農林漁業の振興等、個性豊かな地域づくりの推進が求められている。
 よって、国はこれら施策を町村が自主的、自立的に遂行できるよう町村財政基盤を強化するため、次の事項を実現されたい。
1.国庫補助負担金の整理合理化を行うにあたっては、単に地方への負担転嫁をもたらすようなことは絶対にしないこと。
 また、必要とされる事務事業である限り、一般財源化等を行うなど、明確な代替措置を講じること。
2.地方分権を実効あるものとするために、地方への税源移譲を積極的に行うこと。その際、人口が少なく、課税客体の乏しい町村の実情を踏まえ、配分基準の見直し等を含めて検討すること。
3.税源偏在という現実を踏まえ、地方交付税のもつ財政調整機能、財源保障機能を絶対堅持すること。
 町村が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全等に重要な役割を果たしていることを考慮し、人口を中心とした配分基準を是正するとともに必要な総額を確保し、町村の自主的・自立的な行財政運営に支障をきたさないよう、特段の配慮を行うこと。
4.固定資産税は、収入の普遍性・安定性に富む、町村財政における基幹税目であることから、平成15年度の評価替えに伴う税負担の調整措置については、その安定的確保がはかられるよう、特段の配慮を行うこと。
5.ゴルフ場利用税は、その10分の7が関係市町村に交付されており、特に山林原野の多い町村の貴重な財源として、地域振興をはかる上で重要な役割を果たしているため、本税の存続、確保をはかること。
6.町村が公営企業の経営を行う上で長期低利の資金が不可欠であるので、これに必要な資金の調達・供給を行う機関である公営企業金融公庫の仕組みを堅持すること。

3.少子化対策の推進
 我が国においては、近年の著しい少子化の中で、子ども同士のふれあいの減少などにより子どもの自主性、社会性が育ちにくく、また、社会保障費用にかかる現役世代の負担の増大、社会の活力の低下等への影響が懸念される状況にある。このため子どもを安心して生み育てることのできる環境づくり、子ども自身が健やかに育っていける社会等の強力な推進が求められており、国は子育て支援のための対策を総合的、計画的かつ緊急に推進すること。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.「新エンゼルプラン」の着実な推進をはかること。
2.保育所運営費の基準の改善をはかるとともに、特別保育にかかる財政措 置を充実すること。
3.乳幼児にかかる医療費の無料化を制度化すること。

4.介護保険制度の円滑な実施
 町村は介護保険制度施行以来、高齢者に対する必要かつ十分な介護の提供に懸命の努力を傾注しているところである。
 制度も3年目を迎え、町村は第2期介護保険事業計画の策定等に取り組んでおり、高齢化社会に対応した制度を構築するためにも町村の意見を十分尊重しつつ、今なお山積している課題の解決に向けて取り組む必要がある。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.保険者について
(1)保険給付について施設サービスが中心となっているが、介護保険制度本来の主旨のとおり、被保険者が要介護状態になった場合においても可能な限り居宅サービスが提供できるよう制度化すること。
(2)市町村が保険者となっているが、市町村が希望する場合には公平、公正かつ効果的な制度運営のため、都道府県単位の広域連合組織等での運営を推進すること。
2.保険料について
(1)国及び都道府県による財政補填制度を創設した上で、低所得者に対する保険料については特別の措置を講じること。
 また、保険者の責に帰さない事由により高額な保険料となる場合については、実態に即した適切な措置を講じること。
(2)保険料6段階制の周知をはかること。
(3)第1号保険料にかかる特別徴収の対象範囲(遺族年金、障害年金等)を拡大すること。
3.財政調整について
(1)平成12年度から平成14年度までの介護保険料については、制度発足前の予測により算定している状況に鑑み、予見不可能なやむを得ない事情により赤字を計上した市町村に対しては、特別の財政補填制度を創設すること。
(2)国の負担25%のうち5%が調整財源とされているが、調整財源については25%の外枠とするとともに、算定基準に介護保険施設の病床数を加味すること。
(3)財政安定化基金にかかる財源は国及び都道府県の負担とすること。
(4)「広域化等保険者支援事業費」については、所要額を確保すること。
4.介護報酬等について
(1)次期介護報酬の改定に際しては施設を中心に介護報酬を引き下げること。
(2)介護療養型医療施設の看護6:1、介護3:1の人員配置の報酬は、平成15年3月31日の経過期限後は廃止すること。
(3)介護報酬の特別地域加算にかかる影響額については、利用者負担を含め財政措置を講じること。
5.利用者負担について
 国及び都道府県による財政補填制度を創設した上で、低所得者に対する利用料負担については特別の措置を講じること。
6.家族介護に対する評価について
(1)町村においては家族介護に依存する度合いが高いという現状に鑑み、現金給付の制度化を含め支援策を充実すること。
(2)同居家族に対する訪問介護にかかる基準について、時間規制の2分の1要件は削除すること。
7.介護基盤の整備について
(1)市町村介護保険事業計画に基づき介護サービスが適切に提供できるよう、介護基盤整備については人材の育成・確保等にかかる支援策を含め十分な財政措置を講じること。
(2)介護療養型医療施設の入所定員数が町村の保険料水準に及ぼす影響が大きいことに鑑み、(療養型病床群は)全て医療保険の適用とすること。
 また、当面、介護保険制度で対応するとしても、介護療養型医療施設の新規指定にあたっては町村の意見を踏まえて行うとともに、転換型介護老人保健施設で対応すること。
(3)介護老人保健施設については、町村が必要とする事業量を確保するとともに、財政措置を充実すること。
8.事務費について
 事務費については、要介護認定等に要する費用の2分の1を補填するよう制度化すること。
 また、制度化されるまでの間、従来の事務費交付金の必要額を全額確保すること。
9.養護老人ホーム及びグループホーム、特定施設等の施設入所者に対して、住所地特例を適用すること。

5.医療保険制度の一本化の実現等
1.医療保険制度の一本化の実現について
 市町村保険者は国民健康保険事業の健全な運営のため、日夜懸命の努力を傾注しているところである。
 市町村国保は医療費の増嵩等により年々保険料(税)が高額化し、これ以上の保険料(税)の引き上げ及び一般会計からの繰り入れについては、もはや限界に達している。
 そのような中、昨年11月に政府・与党社会保障改革協議会が公表した「医療制度改革大綱」に続いて、本年9月には坂口厚生労働大臣私案が公表され、今後の改革の道筋として、我々が従来から主張している「医療保険制度の一本化」が「制度の一元化(負担と給付の公平化)」として示されており、かなりの評価をしている。
 しかしながら、今後の課題として、最終目標である「制度の一元化」の明確な時期や具体的な保険者の再編・統合及び都道府県単位を軸とした保険運営等が残されており、今年度中に策定される基本方針には、各種課題を明確にしつつ、上記課題を包含したものとされたい。
 また、基本方針の策定にあたっては、市町村の意見を十分尊重するとともに、財政基盤の強化等、国保財政改善のため、目標に沿った必要かつ十分な国庫負担による財政支援措置を講じられたい。
2.合理的な医療費に関する方策
(1)高齢者を中心として、長期療養者や慢性疾患に対する合理的な診療報酬包括支払方式を導入すること。
(2)かかりつけ医機能の強化促進により、不必要な重複受診を避けること。
(3)薬価及び保険医療材料価格の適正化をはかること。
(4)レセプト審査の適正化をはかるとともに、レセプト及びカルテの電子化を推進すること。
(5)難病等の特殊な疾病については国の負担とすること。
(6)低所得者対策については制度外で実施するなど十分に配慮すること。
(7)生活習慣病対策の推進をはかるとともに、市町村保健事業を支援すること。

6.農業・農村対策の推進
 我が国の農業・農村は、過疎化・高齢化の進展による担い手の減少、耕作放棄地の増加、また、国際化の一層の進展等大変厳しい状況にある。
 このような状況に対処するためには、「食料・農業・農村基本計画」を着実に実施し、安定した足腰の強い農業及び農村を構築する必要がある。
 よって、国は下記事項を実現されたい。
1.食に対する安全と安心を確保する観点から、関連する法制度の見直しを行うとともに、わかりやすく信頼される食品表示制度を確立すること。
2.「食料・農業・農村基本計画」において示された食料自給率の目標を確実に達成するための各種施策の強化をはかること。
3.WTO農業交渉に当たっては、農業の有する多面的機能や食料安全保障の重要性に配慮した新たな国際ルールの実現をはかるとともに、現行の関税水準の維持、ミニマム・アクセス米の見直しに努めること。
4.新たな米の生産調整については、市町村や生産者、生産者団体等の意向を十分反映すること。
5.地域の実態に応じた土地利用をはかるため、土地利用計画の策定及び諸規制にかかる権限については、町村長に委譲すること。
6.農山村地域における活性化対策の強化をはかるとともに、生活文化環境基盤の整備を促進すること。

7.森林・林業対策の推進
 我が国の森林・林業を取り巻く環境は、木材価格の低迷、林業従事者の減少等厳しい状況にあり、山村地域では、過疎化・高齢化が進行している。
 このような状況に対処するためには、「森林・林業基本計画」に基づき、森林の整備、木材の供給・有効利用、山村の活性化を促進する必要がある。 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.「森林・林業基本計画」に掲げられた森林整備の目標、木材の供給・利用の目標等の達成に向けて、森林・林業施策の計画的な推進をはかること。
2.WTO交渉においては、林業・木材産業の健全な発展に資する貿易制度の確立、違法伐採を抑制するルールづくりに努めるとともに、関税の引き下げ等は行わないこと。
3.森林整備を促進するため、造林・林道・治山事業の拡充強化をはかるとともに、里山等の竹林化防止対策を強化すること。
4.平成14年度をもって終了予定の「ふるさと林道緊急整備事業」については、山村地域の定住環境改善のため、継続実施すること。
5.緊急地域雇用創出特別交付金を活用した緑の雇用対策については、雇用期間の延長など要件を緩和するとともに、恒久的な制度化をはかること。

8.水産業対策の充実
 我が国の水産業及び漁村をめぐる環境は、周辺水域における水産資源の低迷や担い手の減少・高齢化の進行等厳しい状況にある。
 このような状況に対処するためには、「水産基本計画」に基づく水産業対策をさらに充実させ、水産業の振興と活力ある漁村を形成する必要がある。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.水産物の安全と安定供給を確保し、併せて水産業の健全な発展と漁村の振興をはかるため、「水産基本計画」に従い、具体的施策を早期かつ強力に実施すること。
2.水産物の食品としての安全と安心を確保するため、衛生管理体制を強化するとともに、生産履歴や原産地表示等適正な情報提供に関する対策を強化すること。
3.WTO交渉においては、自国の水産資源を適切に管理することを前提とする貿易ルールの確立に努めること。
4.漁村の活性化をはかるため、漁村の生活環境、都市との交流、生産・流通体制等、魅力ある漁村づくりのための基盤整備を一層推進すること。
5.海浜及び漁場の美化を総合的に推進する施策の充実をはかること。

9.生活環境の整備促進
 国民が真に豊かさを実感できる住みやすい地域社会をつくるため、生活環境の整備対策を強力に実施する必要がある。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.道路網の整備促進
(1)国土交通社会資本整備重点化計画(仮称)の取りまとめに際しては、道路事業について、所要の事業量を確保するとともに、遅れている町村道の整備を重点的に推進できるよう配慮すること。
 また、道路特定財源については、所要額を堅持すること。
 (道路実延長のうち、84.4%を占める市町村道の改良率は52.0%、舗装率は16.9%)
(2)高規格幹線道路網の整備及びこれに関連する幹線道路の整備を促進すること。
2.排水処理施設の整備促進
(1)国土交通社会資本整備重点化計画(仮称)の取りまとめに際しては、下水道事業について、所要の事業量を確保すること。
 また、著しく整備が立ち遅れている町村の下水道整備を重点的に推進するとともに、下水道整備にかかる財政措置を充実すること。
 (普及率 全国ベース 63.5%、5万人未満の市町村 29.5%)
(2)農業集落排水事業、漁業集落環境整備事業、合併処理浄化槽設置整備事業及び特定地域生活排水処理事業については、町村が必要とする事業量を確保するとともに、財政措置を充実すること。
3.廃棄物処理施設の整備促進
 廃棄物処理施設の整備については、所要予算額を確保するとともに、補助制度の拡充など財政措置の充実をはかること。
4.健全な循環型社会の構築
(1)国・製造業者の責任を強化して不法投棄対策に万全を期するとともに、製造事業者が製品のリサイクル性の向上や廃棄物の量の削減に取り組むよう強力に指導を行うこと。
(2)「使用済自動車の再資源化等に関する法律」(自動車リサイクル法)の施行にあたっては、不法投棄車の回収費用などについて、町村の新たな財政負担とならないよう、万全の措置を講じること。

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