全国町村会

市町村合併について自民党と地方六団体が意見交換

 
 自由民主党の地方行政調査会・地方自治に関する検討プロジェクトチーム(座長・西川公也衆議院議員)は、6月17日、党本部において市町村合併について地方六団体の代表と意見交換を行いました。
 本会からは山本文男会長(福岡県添田町長)が出席し、現在政府が進める市町村合併施策の問題点や、広域連合の拡充による二段階方式の行政体制整備の必要性等について意見を述べました。



▽山本長発言要旨
 最初に申し上げておきますが、合併を一番気にしているのは、私ども町村なのです。合併が頭から離れたことはございません。私ども町村会はこれまで合併を強制・強要をするな、自主的な判断による合併をさせてくださいとお願いをして参りましたが、最近は、そういうことが無視されて、合併が進められている感じがしております。
 合併をする所というのは、声をかけなくても合併するのだと思います。そういう所は、財政的にも豊かであり、人材もいる所が多いのです。しかし、合併をしたくても地形的な条件等で合併しづらい、あるいは合併までたどり着けない所がたくさんあります。そういう所は、今の合併大合唱の時代の中で、合併に反対の方向に歩いて行けばいったいどうなるのだろうという大きな不安を抱いております。そしてその不安を解消するため、勉強会や研究会あるいは任意の合併協議会などを設置して何らかの形で議論をしているのが、実態だろうと思います。
 地方自治というのは住民自治でなければならない。合併をするかしないかというのは、住民の皆さんたちの自主的な判断によって決めるべきものである、と私どもは主張して参りましたが、最近では、国の方が千という数値目標を出しました。これを平成16年度末に達成することは至難であろうと思います。もう少し現実味のある数値目標を示していただいた方が、むしろ良かったのではないかと思います。最終的な目標は千であっても、いま千になれと言われても物理的に不可能であることは誰もが承知していることです。それにもかかわらず、千と言った理由がいかなるものであるか分かりません。
 それからもう一つは、合併をするとこういう自治体になる、21世紀の地方自治体というのは、こうあるべきというあり方を示してもらいたかったのですが、今日現在までそれが示されておりません。地方自治体のビジョンというものが示されて、初めて皆さんで協議をしようということになるのです。
 私どもは、合併に反対をしているのではありません。私どもは地方自治体の単位とはこうあるべきであるということを考えております。どういうことかと申しますと、まず、歴史が一緒であること、経済圏や生活圏が一つであること、文化、風習、言葉が同じである必要があります。
 私は筑豊という所ですが、私の所と飯塚という所は同じ話をしていてもなかなか通じません。そういう所が合併しても何か問題が起こったとき、対立感情を強めることになります。そういうことは、国の側が考えるよりも、地方の人たちの方がよく分かっているのです。合併するならこの位の範囲内で合併するんだ、という考えを持っていることは間違いない。ですから、今の制度は合併を支援をしているのか、阻害しているのか分からない所があります。
 例えば、合併するのに基金を用意したり、建設事業にこれ位お金がかかりますといった際、全体の7割は支援措置により交付税でみてくれますが、3割は起債残として残ります。私の所は10市町村ですが、現在約1千億円の起債残があります。これを今の国側が示している事業費で計算してみますと7百億円になります。このうち3割の210億円は、財政支援措置が切れる11年目に借金として残ります。1千億円の方が減って行けばいいのですが、そんなには減らないと思いますので、合併はむしろ起債残高を増やすことになりかねないと思います。これは、支援策が悪いのです。もう少し、起債残のない、財政不安を起こさない方法を示すことが必要であります。 
 さらに、また、合併すると議員さんたちは2年間任期を延長することができますが、首長や助役、収入役は失職するのが不公平ではないかということで意見一致させている県もあります。
 それから、議員さんについては、在任に関する特例がありますが、議員退職年金に対する特例があるので、首長等の特別職についても同様にしてほしいという要望があります。
 また、離島、半島など地理的条件に恵まれない地域で、市町村合併を検討している町村について、財政支援措置を拡充してほしいという要望もあります。
 以上、総括的なことをお願い申し上げました。

▽質疑応答
問:今の交付税の算定は、人口に偏っていて、面積が広く森林や山村を抱えている所には非常に不利になっている。ところが逆にそういった所ほど、過疎や高齢化が進んでいて大変な行政課題が残っている。そういうところは、合併の際敬遠される。行政需要ばかり多くて財政の面で大変だということ。その点について山本町長のご意見を伺いたい。
 
答:山本会長
 人口だけで交付税を決定するというのは、適当でないがそのように決められている。もう少し物理的・地理的な条件を考慮して、人口とのバランスで交付税を措置するということを考えてほしい。
 また、合併をしたくてもできない町村には、地方自治法に「広域連合」という制度がある。この制度には権限と責任と財源がないため、これらを明確にすれば、合併と同じような効果がある。そのうちに中身が充実して合併に移行することもあり得る。したがって、こういう二段階方式でいけばいいという地域もあると思われる。
 それから、千の話では、道州制をやるべきだろう。そうすれば、自然と地方自治体全体が組み替えをする時期が来て、千という話が現実化するのではないか。道州制をやるとそのポテンシャルが高くなると思う。例えば九州は一つにするというようなやり方をしていけば、町村もまとまっていかなければやっていけない、という空気が生まれてくるのではないか。下からではなく、上から行く方がやり易いと考える。

問: 先ほどの山本会長のお話の中で、広域連合をもう少し拡充するならば、そういう方法もあるということだったが、合併しない市町村の事務をどうするかについて議論が始まっているが、この点についてご見解を伺いたい。

答:山本会長
 合併をしないところは、故意にしないのではなくて、やれない所がある。そういう所は広域連合を強化して、共通する問題について処理していくということが必要である。例えば、小学校の教員の異動を市町村に任せたらどうかという話があるが、これは小さな町村ではできない。しかし広域連合で対応すれば、人材も確保できる。16町村で全部集まっても人口は86,000にしかならない所があり、その16のうち4つが本土側であとは島である。そこで意見を求められたので、私は、ばらばらになることだけは止めなさいと申し上げた。そういう所は、むしろ広域連合を強化して整理するとうまく行くのではないか。
 私は、いま72の市町村で広域連合を作っている。ところが、課税権がなく権限と責任がばらばらであるため、どうしてもうまく行かず一つづつ頭を下げて頼みに行くということをやらざるを得ない。このあたりを制度化していただきたい。

▽その他意見
 今の山本町長の話は大変参考になろうかと思う。これからの地方自治は、これまでの金太郎飴方式を止めて、地域の独自性を出していくことを考えて行かなくてはならない。やはり地域の特性といったものを無視してはならない。したがって、一方的に国がこうだからと言って、当たり前のように数字だけが前提に立って、3,200ある市町村を千にするとかというのは、おかしいのではないか。 
 それは地方分権の時代にあるだけに、地域の町村長や住民の意識が大変重要だと思う。かたや合併促進という方法もあるが、二段階方式、広域連合のあるべき姿というものも当然あってしかるべきだと思う。その部分に対する優遇措置というものも考えていくべき。
 私がいま一番心配しているのは、山本会長さんがおっしゃった、「現在の市町村合併の進捗状況をどうみるか」ということ。いま3分の2以上の団体が合併の研究を進めているが、これが具体化していく段階で荷崩れを起こしていくのではないか。
 国家として21世紀の基本を定めようとしているのだから、もう少し進んで何かやる必要があるのかなと思う。ある市町村関係者はもう法律で一遍にやってくれと言う。憲法上必要ならば住民投票をやって賛否を問い、行くか行かないか決めたらいい。それで行けない所は広域連合でやったらいい。いまの広域連合には求心力がないので全くだめであり、そこに手当をする必要がある。


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