全国町村会

平成14年度予算編成に向けて本会役員が実行運動

 
 全国町村会は、平成14年度政府予算編成をひかえ11月29日に予算対策本部を設置するとともに、12月13日には常任理事会を開催し、「地方分権の推進」、「町村財政基盤の強化」など10項目の重点要望を採択し、会議終了後、役員が自由民主党及び関係各省幹部などに実行運動を行いました。
 実行運動は、自由民主党、関係各省などに対し4つの班に分かれて実施。.自由民主党と総務省には、山本会長(福岡県添田町長)、齋藤(茨城県関城町長)、田中(岐阜県垂井町長)、藤本(岡山県和気町長)の3副会長が、.厚生労働省へは針ヶ谷(群馬県板倉町長)、西平(石川県田鶴浜町長)、野中(京都府園部町長)、丸山(愛媛県双海町長)の四常任理事が、.農林水産省へは伊藤監事(新潟県黒川村長)、服部(三重県菰野町長)、冨永(熊本県菊陽町長)の両常任理事が、.国土交通省と環境省へは北林監事(秋田県上小阿仁村長)、岩谷(島根県旭町長)、松本(佐賀県北方町長)の両常任理事が、それぞれ実行運動を行い、重点要望事項の実現を要請しました。



1.地方分権の推進
 新世紀を迎え地方分権型社会の本格的な構築が始まった今日、新しい時代を真の「地方の時代」とし、住民が誇りと展望を持った活力ある地域社会をつくることは、地方自治体に課せられた重要な使命である。
 よって国は、地方分権の一層の推進に向け、次の事項を実現されたい。
1.地方税・地方交付税等地方一般財源を確保するなど、必要な措置を的確に講じること。
2.今後、一層の事務・権限の移譲を推進すること。 
3.市町村合併をいかなる形であれ強制することのないよう十分留意すること。
  なお、市町村合併の強制を意図した地方交付税算定の見直しは絶対に行わないこと。

2.町村財政基盤の強化
 町村は、自主税源が乏しい中、地方分権の進展を踏まえ、介護保険の実施など少子・高齢社会への対応をはじめ、低位にある生活環境施設の整備、資源循環型社会の構築等の環境施策の推進、厳しい条件下にある農林漁業の振興等、個性豊かな地域づくりの推進が求められている。
 よって、国は、これら施策を町村が自主的、自立的に遂行できるよう町村財政基盤を強化するため、次の事項を実現されたい。
1.地方税は、地方分権を実質的に担保する、地方自治の基礎を支えるものであり、地方の歳出規模と地方税収入の大幅な乖離を縮小するためにも、国と地方の役割分担を踏まえ、国から地方への税源移譲等により、町村税源の充実強化をはかること。
2.地方交付税は、税源の偏在による財政力格差を是正するとともに、地方公共団体に一定水準の行政を保障するうえで、極めて重要な機能を有するものであり、町村が安定した財政運営ができるよう、地方交付税所要額を確保すること。
 また、地方交付税は地方固有の財源であるので、その制度のあり方について検討する場合は、町村の意見を十分踏まえること。特に、スケールメリットが働きにくい町村の行財政運営に支障をきたすことのないよう配意すること。

3.安全で魅力ある地域づくりの推進
 町村では、それぞれの地域の特性を活かした独自の魅力ある地域づくりの推進が求められている。
 また、危機管理体制の整備が求められる中、各種災害から住民の生命・財産などを守り、安全で住みよい地域社会を形成することは、町村の基本的な政策課題である。
 よって、国は関連諸施策を総合的に推進するとともに、強力な支援措置を講じられたい。

4.少子化対策の推進
 わが国においては、近年の著しい少子化の中で、子ども同士のふれあいの減少などにより子どもの自主性、社会性が育ちにくく、また、社会保障費用にかかる現役世代の負担の増大、社会の活力の低下等への影響が懸念される状況にある。このため子どもを安心して生み育てることのできる環境づくり、子ども自身が健やかに育っていける社会等の強力な推進が求められており、国は子どもを生み育てるための対策を総合的、計画的かつ緊急に推進することが必要である。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.新エンゼルプランの着実な推進をはかること。
2.保育所運営費の基準の改善をはかるとともに、特別保育にかかる財政措置を充実すること。
3.乳幼児にかかる医療費の無料化を制度化すること。

5.介護保険制度の円滑な実施
 高齢化が著しく進行する我が国において、高齢者介護は現下の最大の課題であり、国、都道府県、市町村が一丸となって取り組むことが何よりも重要である。こうした中、町村においては介護保険制度施行以来、高齢者に対する必要かつ十分な介護の提供に懸命の努力を傾注しているところである。
 しかしながら、本来在宅介護中心であるべき制度が施設介護中心に傾斜するなど、今なお解決すべき課題が山積している。同制度を円滑かつ安定的に運営するためには、町村の意見を十分尊重することはもとより、国、都道府県がその役割を十分に果たすことが必要である。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.保険給付について施設サービスが中心となっているが、介護保険制度本来の主旨のとおり、被保険者が要介護状態になった場合においても可能な限り居宅サービスが提供できるよう支援すること。
2.保険料について
(1)低所得者に対する保険料については減免措置を講じるとともに、同措置にかかる国、都道府県による財政補填制度を創設すること。
 また、保険者の責に帰さない事由により高額な保険料となる場合については、実態に即した適切な措置を講じること。
(2)保険料六段階制の周知をはかること。
(3)事務の効率化のため、第1号保険料にかかる特別徴収の対象範囲を拡大すること。
3.財政調整について
(1)国の負担25%のうち5%が調整財源とされているが、調整財源については25%の外枠とするとともに、算定基準に介護保険施設の病床数を加味すること。
(2)財政安定化基金にかかる財源は国および都道府県の負担とすること。
4.認定更新の際、状態に変化が生じていない者については認定期間の有効期限を延長する等手続きの簡素化をはかること。
5.介護報酬について
(1)介護報酬の特別地域加算に係る影響額については、利用者負担を含め財政措置を講じること。
(2)訪問介護の給付については身体介護、家事援助および両者の複合型の3類型設定されているが、給付上区分けが困難を極めている現状に鑑み、一本化するなど介護報酬について見直しをはかること。
6.低所得者に対する利用料負担については減免措置を講じるとともに、同措置にかかる国、都道府県による財政補填制度を創設すること。
7.家族介護に対する評価について
(1)町村においては家族介護に依存する度合いが高いという現状に鑑み、現金給付の制度化を含め支援策
を充実すること。
(2)同居家族に対する訪問介護に係る基準について、時間規制の二分の一要件は削除すること。
8.介護基盤の整備について
(1)市町村介護保険事業計画に基づき介護サービスが適切に提供できるよう、介護基盤整備については人材の育成・確保等にかかる支援策を含め十分な財政措置を講じること。. 
(2)介護療養型医療施設の入所定員数が町村の保険料水準に及ぼす影響が大きいことに鑑み、(療養型病床群は)全て医療保険の適用とすることを含め、その位置づけを基本的に見直すこと。
 また、見直しにあたっては町村の意見を十分尊重すること。
(3)施設サービス対象者については要介護一から五までが対象とされているが、真に施設サービスが必要な者が入所可能となるよう、要介護四・五のみを対象とし、要介護一から三については家族構成等考慮の上、特に必要と認められる場合のみ入所可能とすること。
9.市町村における介護保険の事務の執行については、十分な財政措置を講じること。

6.医療保険制度の抜本的な改革の実現
 市町村国保は医療費の増嵩等により年々保険料(税)が高額化し、これ以上の保険料(税)の引き上げおよび一般会計からの繰り入れについては、もはや限界に達しており、負担と給付の公平化のため、従来から医療保険制度の一本化、段階的措置として財政の一本化を主張してきたところである。
 今般取りまとめられた「医療制度改革大綱」では、「医療保険制度の一元化」として道筋が付けられたものとみており、その意味では一定の評価はできると考えるものの、今後このことを関係法令に明記していただく必要があると同時に、合理的な医療費に関する方策等として、国は次の事項を実現されたい。
1.医療保険制度の一本化に向けての方策
(1)当面の措置
 国は、予め一本化達成の目標年次等を定めるとともに、当面の措置として国保財政改善のため、目標に沿った必要かつ十分な国庫負担による財政支援措置を講じること。
(2)中期的目標
 段階的措置として、現行保険者種別を維持しながら、類似の保険者において保険料率の統一等を行い、地域医療制度として財政の一本化をはかること。この場合、国が主体的に財政調整を行うこと。
(3)長期的(最終的)目標
 既存の各制度や保険者組織を統合し、全ての国民が加入する統一的な医療保険制度として一本化すること。
2.老人医療対策の充実強化
(1)老人医療費に対する国の負担割合を拡充すること。
(2)老人医療費拠出金の算定にかかる老人加入率の上限を撤廃すること。
 また、退職者にかかる老人医療費拠出金の全額を退職者医療制度で負担すること。
3.合理的な医療費に関する方策
(1)キャップ制等の強制的な医療費抑制方式は導入しないこと。
(2)患者負担増と保険料増額の同時施行は避けること。
(3)高齢者を中心として、長期療養者や慢性疾患に対する合理的な診療報酬包括支払方式を導入すること。
(4)かかりつけ医機能の強化促進により、不必要な重複受診を避けること。. 
薬価および心臓ペースメーカー、人工関節、ダイアライザー等の医療用具・保険医療材料価格の強力な適正化をはかること。
(5)レセプト審査の適正化をはかるとともに、レセプトおよびカルテの電子化を推進するため、国が財政支援を行うこと。
(6)難病等の特殊な疾病については、国の負担とすること。
(7)低所得者対策については、制度外で実施するなど十分に配慮すること。
(8)生活習慣病対策の推進をはかるとともに、国は市町村保健事業を支援すること。

7.農業・農村対策の推進
1.「食料・農業・農村基本計画」において示された食料自給率の目標を確実に達成するための各種施策の強化をはかること。
2.米の需給と稲作経営の安定をはるための取組を強化するとともに、米政策の見直しに当たっては、水田農業の確立と地域の実態に十分配慮し、制度の簡素化をはかること。
3.牛海綿状脳症(BSE)については、その発生原因を早急に究明し、再発防止のための万全の対策を講じるとともに、関連対策で決定された諸対策を早急かつ確実に実施すること。
4.WTO農業交渉に当たっては、農業の有する多面的機能や食料安全保障の重要性に配慮した新たな国際ルールの実現をはかるとともに、現行の関税水準の維持、ミニマム・アクセス米の見直しに努めること。
 また、輸入急増により国内農業に著しい影響がある場合、セーフガードを迅速に発動するとともに、国内産地対策を強化すること。
5.農山村地域における活性化対策の強化をはかるとともに生活文化環境基盤の整備を促進すること。

8.森林・林業対策の推進
1.森林・林業基本計画に掲げられた森林整備の目標、木材の供給・利用の目標等の達成に向けて、森林・林業施策の総合的・計画的な推進をはかること。
2.森林施業の実施に不可欠な地域活動を支援するための森林整備地域活動支援交付金制度を創設し、その普及定着をはかること。
3.担い手への森林施業や経営の集約化、木材の加工流通体制の整備を推進する林業・木材産業構造改革事業を創設し、その着実な推進をはかること。
4.WTO交渉においては、林業・木材産業の健全な発展に資する貿易制度の確立、違法伐採を抑制するルールづくりに努めるとともに、関税の引き下げ等は行わないこと。 
 また、輸入の急増により国内林業が深刻な打撃を受ける事態が生じた場合は、セーフガードの発動を迅速に行うこと。

9.水産業対策の充実
1.水産物の安定供給を確保し、併せて水産業の健全な発展と漁村の振興をはかるため、水産基本法に基づく水産基本計画を速やかに策定し、具体的施策を早期かつ強力に実施すること。
2.意欲ある漁業者の経営基盤の強化をはかるため、運転資金の融通等に優遇措置を講じるとともに、コストの軽減や担い手の確保をはかるため、漁船建造等に対する支援措置を講じること。
3.水産基盤整備を総合的、計画的に実施するため、漁港整備と沿岸漁場整備を統合した新たな漁港漁場整備長期計画を策定すること。
 また、漁村の生活環境の整備・改善を一層推進すること。
4.わが国周辺水域の資源回復と持続的利用をはかるため、資源回復への取組を強化するとともに、韓国漁船等の違法操業に対する取締を強化し、操業秩序の確立をはかること。
5.WTO交渉においては、自国の水産資源を適切に管理することを前提とする貿易ルールの確立に努めること。
 また、輸入の増大によって我が国水産業に著しい影響が生じた場合は、速やかにセーフガードを発動すること。

10.生活環境の整備促進
 国民が真に豊かさを実感できる住みやすい地域社会をつくるため、生活環境の整備対策を強力に実施する必要がある。
 よって、国は次の事項を実現されたい。
1.道路整備五箇年計画の着実な実施をはかるとともに、整備が立ち遅れている町村道の整備を重点的に推進できるよう配慮すること。
 また、道路特定財源については、所要額を堅持すること。
 (道路実延長のうち、84.3%を占める市町村道の改良率は51.3%、舗装率は16.8%)
2.第8次下水道整備七箇年計画の着実な実施をはかること。また、著しく整備が立ち遅れている町村の下水道整備を重点的に推進するとともに、下水道整備にかかる財政措置を充実すること。
 (普及率全国ベース62%、5万人未満の市町村27%)
 また、農業集落排水事業、漁業集落環境整備事業および合併処理浄化槽設置整備事業については、町村が必要とする事業量を確保するとともに、財政措置を充実すること。
3.健全な循環型社会の構築にあたっては、国・製造業者等の責任を強化して不法投棄対策に万全を期するととともに、製造業者が製品のリサイクル性の向上や廃棄物の量の削減に取り組むよう強力に指導を行うこと。

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